
メルセデス・ベンツは20日、主力セダン「Cクラス」の電動モデルを発表した。最大762km(WLTP)の航続距離や800V電圧系による急速充電(10分で最大325km分)を実現し、中型セダン市場での電動車競争を一段と引き上げる。
最大航続762㎞、800Vモデルに
同社にとってCクラスは長年の販売中核を担う量販モデルであり、その電動化はプレミアムブランドのEVシフトを「上位モデル中心」から「主力帯へ拡張」する転換点となる。従来はSクラスやEQSなどフラッグシップで先行してきた電動化技術を、中核セグメントに本格展開する位置付けだ。

今回の電動Cクラスは、航続距離と充電性能に加え、独自OS「MB.OS」によるソフトウエア定義車(SDV)化を前面に押し出した。生成AIを活用した音声アシスタントやOTA(無線更新)機能により、購入後も機能を拡張できる設計とした。走行性能では後輪操舵やエアサスペンションを採用し、「最もスポーティーなCクラス」と位置づける一方、長距離快適性では上位のSクラス並みの乗り味を目指す。電動化に伴う新プラットフォームにより室内空間も拡大し、従来モデルとの差別化を図る。
EV収益化に本腰

メルセデスは2030年までに市場条件が整えばEV専業化を掲げるが、収益の柱である中型セグメントの電動化が課題だった。今回のモデル投入により、量販帯でもEVの性能・利便性を確保できる体制が整う。とりわけ長距離性能と充電速度の向上は、従来の「プレミアムEVの弱点」とされてきた実用性の壁を下げる狙いがある。これにより、既存の内燃機関ユーザーをEVへ転換する役割を担う。
電動Cクラスは、同社の電動化戦略において「技術実証モデル」から「収益モデル」への橋渡しを担う存在となる。主力車種のEV化が進むことで、メルセデスの電動化は次の段階に入りそうだ。(2026年4月22日)