• 2026-10-18

ユーロNCAP、新基準でQ7・EV2・X9に5つ星 事故後の救助対応や操作性を評価

ユーロNCAPで5つ星を獲得したアウディQ7
アウディQ7(写真:アウディ)

欧州の自動車安全性能評価機関ユーロNCAPのよる最新の評価結果で、アウディ「Q7」、起亜「EV2」、小鵬汽車「X9」の3車種に最高評価の5つ星を付与した。Q7は、事故後の緊急通報や乗員救出への対応を評価する「事故後の安全性」で100%を獲得した。今回の3車種には、2026年から導入された新しい評価基準を適用した。衝突時の保護性能だけでなく、日常の操作のしやすさ、運転支援の実効性、事故後の救助対応までを段階別に評価する仕組みで、Q7とEV2は基本操作の使いやすさでも高い評価を得た。

ユーロNCAPは2026年、評価体系を「安全運転」「衝突回避」「衝突保護」「事故後の安全性」の4分野に再編した。各分野を100点満点で採点し、得点率を公表する。総合的な星の判定には、分野ごとの最低基準も設けた。また、事故後の安全性について、今年からは独立した主要評価分野の一つとして位置づけた。新基準では、衝突後も電動式の外側ドアハンドルを操作できることや、EVの高電圧電池を適切に遮断することなどを重視する。緊急通報による乗員数の伝達や、事故後・充電中の電池火災に関する警告も評価し、迅速で安全な救助につなげる。

2026年基準で評価された3車種の得点率は次の通り。

車種総合評価安全運転衝突回避衝突保護事故後の安全性
アウディQ75つ星72%77%88%100%
起亜EV25つ星74%66%86%89%
小鵬X95つ星57%82%91%91%

起亜の小型クロスオーバーSUV、EV2は、安全運転と衝突保護の性能が5つ星獲得を支えた。運転者の疲労や注意散漫の検知に加え、乗員の体格や危険な着座姿勢を認識する機能も評価された。車線逸脱防止機能では、運転者の注意状態に応じて警告や介入を調整する。大型MPVの小鵬X9は、衝突回避で82%、衝突保護で91%を獲得した。一方、安全運転は57%にとどまった。約2000kmの欧州公道試験で、雨天時や大型車に適用される条件付き速度制限などへの対応が不十分で、速度支援機能は得点を得られなかった。

今回、ユーロNCAPが強調しているのが、基本操作のしやすさだ。方向指示器、ワイパーとウォッシャー、非常点滅灯、警音器、緊急通報などについて、タッチスクリーンのメニューをたどらず、物理スイッチなどで直接操作できることを評価している。Q7は基本的な運転操作で100%、空調・インフォテインメントなどの操作で80%を獲得した。EV2は両項目で満点だった。これに対し、X9は基本的な運転操作で20%にとどまり、中央のタッチスクリーンに依存する操作が運転者の注意をそらす可能性を指摘された。

ユーロNCAPは、適切に配置され、容易に操作できるボタンやスイッチが注意散漫の低減につながるとしている。今回の結果は、機能の充実に加え、運転中に迷わず使える設計も安全性能の評価対象となっていることを示した。

Q7は、2026年基準の「事故後の安全性」で100%を獲得した。アウディは13日、同分野で量産車として初の満点を達成したと発表。緊急通報システム「Audi connect emergency call」は、重大事故時に自動で救援につなぎ、車両や位置に関する情報を提供するもので、衝突後に自動制動するマルチコリジョンブレーキは二次衝突の危険低減を図る。事故後のドアの解錠・開放や、電源喪失時の操作、シートベルトの解除など、救出に関わる対応も評価対象となった。

同時に公表された結果では、BYDのピックアップトラック「SHARK」が5つ星、欧州向け「マツダ2ハイブリッド」が4つ星となった。SHARKは豪州・ニュージーランドのANCAPによる2025年の試験結果を基に、ユーロNCAPが追加試験を実施した。マツダ2ハイブリッドは姉妹車のトヨタ・ヤリスの評価を引き継いだ。いずれも2025年基準の評価で、今回のQ7など3車種とは評価項目の構成が異なる。

2026年の新基準では、安全装備の有無に加え、運転中に迷わず操作できるか、運転支援が実際の道路環境で適切に働くか、事故後の救助を支えられるかが、より明確に問われる。同じ5つ星でも得意とする分野は異なり、車両を比較する際には、星の数とともに評価年や分野別の結果を確認する必要がある。

(2026年10月15日)