
米国ホンダは13日、高級車ブランド「アキュラ」の北米商品計画を発表し、2028年前半にアウトドア志向の新型SUV、同年中に次期「RDX」のハイブリッド車(HV)を投入する方針を明らかにした。ブランド最大となる8人乗りSUVも開発する。ホンダが北米でHVと既存のエンジン車を軸に事業基盤の強化を進める中、アキュラも需要の厚いSUV市場で品ぞろえを広げ、新規顧客の獲得とブランド内での買い替え促進を図りたい考えだ。
米国販売は拡大、HVとSUVが支え
ホンダの北米事業は、電動化への投資配分を見直す一方、足元の米国販売ではHVやSUVを中心に伸びを確保している。米国ホンダの発表によると、2026年1~9月のホンダ、アキュラ両ブランド合計販売は前年同期比4.7%増。7~9月のホンダブランドのHV販売は10万6,000台を超え、四半期として過去最高となった。主力SUV「CR-V」も同期間の販売記録を更新した。アキュラの1~9月販売は4.4%増で、MDXは25%超伸びた。
こうした販売動向は、燃費性能と使い勝手を両立するHVや、家族用途に対応するSUVが、同社の北米事業を支えていることを示す。今回の商品計画は、この需要をアキュラの成長につなげたい意向だ。
EV計画の見直し後、高級車ブランドの成長路線を示す
ホンダは今年3月、米国で生産を予定していたEV「Honda 0 SUV」「Honda 0 Saloon」「Acura RSX」の開発・発売中止を発表した。EV需要が大幅に減少する環境下で投入すれば、将来の損失拡大につながる恐れがあると判断した。アキュラも、計画していた新型EVを失うことになった。
5月には、開発・生産資源を需要の高いHVへ再配分する方針を示した。北米を中心に2029年度までに次世代HVを世界で15モデル投入し、北米の全完成車工場でHVを生産できる体制を整えるとしている。今回のアキュラの商品計画は、この方針を高級車市場で具体化する意味を持つ。次期RDXへのHV投入に加え、未参入のSUV分野を開拓することで、電動化戦略の見直し後もブランドの成長に投資する姿勢を販売店と顧客に示した。
次期RDXに2モーター式HV、V6も開発

第4世代となる次期RDXは、2028年に発売する。ホンダの2モーター式ハイブリッド技術を採用する初のアキュラ車となる。ホンダブランドで販売を伸ばすHV技術をアキュラにも展開し、高級車に求められる走行性能や快適性と組み合わせる。今回の計画は、HVの販売機会を価格帯の高い市場へ広げる役割も担う。
さらに、アキュラのDセグメント車向けに、新たなV6ハイブリッドパワートレインを開発している。スポーティーな走行性能に加え、けん引能力と環境性能の向上をめざすという。燃費だけでなく、大型車の走りや実用性を支える技術としてHVを活用する方向だ。ただし、V6ハイブリッドの搭載車種や投入時期、次期RDX向けシステムとの関係は明らかにしていない。
アウトドア需要と大型ファミリー車の選択肢を拡大
アウトドア志向の新型SUVは2028年前半に発売する。屋外活動に対応する走行能力と、上質なデザイン、快適性、技術を備えるとしているほか、ホンダブランドとしてSUV「パスポート」のアウトドア志向グレード「トレイルスポーツ」が同車販売の8割超を占めるなど、この分野の需要が販売を支えている。アキュラでも、アウトドアでの実用性と高級車の快適性を求める顧客層の開拓が狙いとなる。
一方、開発中の8人乗りSUVは、7人乗りのMDXより上位に位置付ける。ブランド最大の車種として、より多くの乗員や荷物に対応したいファミリー層を取り込む。発売時期は未公表だ。MDXより大きな車両を必要とする顧客にも選択肢を用意することで、他ブランドへの流出を抑える効果が期待される。
入門車から上級SUVまで、顧客との関係を長期化
米国ホンダは、アキュラへの入口となる小型SUV「ADX」とスポーツセダン「インテグラ」を維持しながら、上級車や用途別の選択肢を増やす。ADX、インテグラ、MDXには2027年モデルで商品改良を実施する。米国ホンダの藤村英治社長兼最高経営責任者(CEO)は、顧客のあらゆる生活段階のニーズに応える商品・サービスを提供し、ブランドの持続的な成長につなげる方針を示した。高級車としての価値と価格のバランスを重視し、市場投入のスピードも高めるとしている。
今回の計画の意義は、北米で実績のあるHV技術とSUV需要を組み合わせ、アキュラの顧客を長期にわたりブランド内にとどめる商品体系を築く点にある。ホンダ全体のHV強化を販売台数の拡大に結び付けるとともに、高級車市場での収益機会を広げる取り組みとなる。
(2026年10月15日)