
中国の電気自動車(EV)メーカー、小鵬汽車(XPENG)は12日、パリモーターショーで新型旗艦SUV「G9L」の欧州投入を発表した。オーストリアのマグナ・グラーツ工場での現地生産を予定し、「G6」「G9」「P7+」に続く欧州生産の4車種目となる。AIを用いた運転支援技術の欧州展開や技術協業の拡大も打ち出し、商品と生産の両面で欧州事業を強化する。
小鵬は今回、「欧州で、欧州のために、欧州とともに」を掲げ、欧州の研究開発、現地生産、パートナー企業との協業を組み合わせる方針を示した。G9Lの投入は、海外販売の拡大に合わせて欧州の供給体制を厚くし、高級SUV市場での顧客獲得を進める取り組みとなる。
欧州生産を4車種に拡大へ
G9Lは、7日にグラーツ工場で初回の試験生産を完了した。小鵬とマグナは2025年7〜9月期に欧州現地生産を開始しており、約1年で対象車種の拡大を進めている。G9Lの本格量産開始時期や生産規模は、今回確認した発表では明らかにしていない。パリでの発表に先立ち、小鵬は欧州で製造した試作車をグラーツからパリまで1324キロ走行させる計画も公表しており、充電性能、安全システム、走行性能を実際の道路環境で示す取り組みとして位置づけている。
欧州メーカーの域内生産重視に対応
今回のパリモーターショーでは、VWグループが「For Europe」を掲げ、欧州の技術力や製造基盤を競争力につなげる方針を示した。小型EV4車種の共同開発・欧州生産を具体例に挙げ、域内での付加価値創出や雇用を重視している。小鵬は現地生産を拡大することで、こうした欧州側の問題意識にも対応したい考えとみられている。今回の発表を受けて、ロイター通信は小鵬幹部が欧州の現地調達要件を見据え生産拡大を検討している、と報じた。現地企業との協業による新工場の建設や既存工場の活用が選択肢となり、オーストリアより低コストの生産体制をめざすという。G9Lの欧州投入とマグナでの生産準備は、こうした事業拡大の具体的な一歩となる。競争力を左右する要素が車両価格や性能に加え、欧州での生産・調達体制にも広がっていることを示す取り組みといえそうだ。
AI運転支援と高級SUVの品質を訴求
小鵬はパリで、独自のAI技術を用いた運転支援システム「NGP」の欧州での試乗展開も発表した。自動車・技術企業に向けた技術協業の機会を広げ、車両販売と並行してAIや車両開発技術の事業展開を進める。G9Lは64カ国・地域への投入を計画する世界戦略車で、同社によると、3年間にわたり26カ国・地域で開発・検証を実施した。走行試験は約674万キロに達し、192回の衝突試験と110件超の試験項目を実施。左・右ハンドルの双方を検証した。
足回りには、2室式エアサスペンション、電子制御可変ダンパー、最大15度の後輪操舵を標準装備する。低速時の取り回しと高速走行時の安定性を両立し、乗り心地と操縦性能を高める設計だ。同社の累計海外納車は10万台を超え、このうち欧州が6万台超を占める。2026年4〜6月期の海外納車は前年同期比81%増となり、初めて2万台を上回った。販売拡大を背景に、欧州での商品構成と現地生産体制をさらに充実させる。
(2026年10月13日掲載)