
独BMWグループは15日、中国・瀋陽で第6世代高電圧バッテリー「Gen6」の量産を開始したと発表した。中国で生産する次世代電気自動車(EV)「ノイエ・クラッセ」に供給する。Gen6の量産拠点はハンガリー、ドイツに続いて世界3カ所目。車両工場の近くで電池を生産する体制を広げ、新世代EVの世界展開を支える。
円筒形セルを採用、航続距離は最大30%向上
Gen6は、ノイエ・クラッセの中核となる新世代の駆動用バッテリーだ。新開発の円筒形セルは、従来世代のセルに比べエネルギー密度が20%超高く、新たな電池技術により充電速度と航続距離はそれぞれ最大30%向上するという。
構造は、セルをまとめた従来のモジュールを介さず、バッテリーケースにセルを直接組み込む「セル・トゥ・パック」方式となる。搭載スペースを効率的に使い、異なる車種にも柔軟に対応できるようにする狙いだ。BMWが開発した中央制御ユニット「エナジー・マスター」も搭載する。バッテリーに直接取り付け、電力供給やバッテリー管理に関する主要機能を集約する。
欧州に続き中国で量産、米国・メキシコも稼働へ
BMWはGen6の生産網の整備に取り組んでいる。先行するハンガリーのデブレツェン、ドイツのイルバッハ・シュトラスキルヒェンに瀋陽が加わり、今後数カ月以内には米国のウッドラフ、メキシコのサンルイスポトシの電池組立拠点でも量産を開始する予定だ。同社では世界共通の生産・品質・安全基準を適用しながら、地域の製造技術やサプライヤーの知見を活用したい考えだ。電池を車両工場の近くで生産することで輸送距離を短縮し、供給の安定性や物流効率を高めていく。
生産担当のレイモンド・ヴィットマン取締役は、中国での量産開始について、最新技術の産業化を世界の生産網で迅速かつ体系的に進めていることを示すものと説明。ノイエ・クラッセの世界的な生産拡大に向けた重要な条件が整うとの認識を示した。
AIによる検査で品質を管理
製造工程では、受け入れ検査を終えたセルを冷却ユニットと組み合わせ、セルの集合体を形成。その後、レーザー洗浄や精密溶接を行い、専用の発泡工程で部品を一体化することで、バッテリーの安全性や安定性、耐久性を確保する仕組みだ。ケースの密閉・接合とエナジー・マスターの取り付けを経て、完成したバッテリーは全数について品質、安全性、機能の最終検査となる。工程全体では生産データを収集・分析し、デジタルツインやAIを活用した検査によって異常の早期発見と製造履歴の追跡に役立てる。レーザー溶接部も製造ライン上でリアルタイムに監視する。
瀋陽での量産開始は、中国製ノイエ・クラッセ向けの主要部品を現地で供給する体制づくりとなる。BMWは、新世代の電池技術を各市場の車両生産と一体で展開し、EVの性能向上と生産・供給体制の強化を並行して進める。
(2026年10月16日)