
加マグナ・インターナショナルは19日、欧州自動車メーカーからドライバー・乗員監視システム(DMS/OMS)を受注したと発表した。ルームミラー一体型の車内監視システムを次世代車両アーキテクチャの基盤技術として展開し、SDV(ソフトウエア定義車)時代を見据えた統合型コックピット戦略を加速させる。
ミラー統合型DMS/OMSをSDV基盤へ、車内センシング競争が新局面
今回受注したシステムは、ミラー内部にカメラを組み込む「ビハインド・ザ・グラス」構造を採用。ドライバー監視や乗員検知機能を備えながら、追加カメラをダッシュボード上などへ露出させず、車内デザイン自由度を維持できる点が特徴だ。
マグナはDMSソフトウエアとシステム統合も提供し、中央集約型コンピューティング基盤への適合を進める。従来の分散ECU型から、ゾーナルアーキテクチャや高性能統合コンピューターへ移行するSDV世代では、車内センシング機能も「独立装備」から「統合ソフト機能」へ位置付けが変化しつつある。
同社のマッテオ・デルソルボ社長(メカトロニクス・ミラー・ライティング部門)は、「ドライバー監視は単独機能ではなく、統合型車両アーキテクチャの一部として導入される方向にある」と指摘。「ミラー統合型アプローチにより、システム複雑化を抑えつつ、将来のSDV機能拡張に備えられる」と述べた。
DMSは欧州の安全規制強化を背景に急速に普及が進む。EUでは2024年から新型車へのドライバー異常検知機能搭載が事実上義務化されており、自動車メーカー各社は車内センシング技術の搭載拡大を急いでいる。なかでも高度運転支援(ADAS)やレベル2+、将来的なレベル3運転では、ドライバーの前方注視確認や覚醒状態監視が不可欠になる。
一方、近年はDMSに加え、OMS(Occupant Monitoring System)の重要性も高まる。OMSは乗員位置や体格、着座状態を検知し、エアバッグ展開制御やシートベルト制御を最適化するほか、置き去り検知やキャビン内パーソナライズ機能にも活用される。車内空間を「知能化空間」として扱うSDV戦略の中核技術との位置づけだ。
とくに注目されるのは、ミラー統合型という実装手法。従来のDMSはステアリングコラム上部やAピラー周辺に専用カメラを追加する例が多かったが、コックピット設計の複雑化やコスト増加が課題だった。これに対し、ミラー内統合は視線取得角度が自然で、既存部品との統合によるコスト抑制効果も見込めることになる。
自動車メーカー各社は現在、SDV化に伴い「センサー乱立」の整理を進めており、車内センシングでも統合化競争が始まっている。今回の受注は、マグナが単なるミラー部品メーカーから、車内認識・統合ソフト領域を担うシステムサプライヤーへ軸足を移しつつあることを示す案件といえそうだ。(2026年5月20日)