
メルセデス・ベンツは16日、米NVIDIAとの戦略的提携を拡大し、次世代の運転支援・自動運転システムを共同開発すると発表した。自社の車両開発・安全技術と基本ソフト「MB.OS」に、NVIDIAの車載コンピューティングや人工知能(AI)技術を組み合わせる。前日にはボルボ・カーズも同様の提携拡大を発表しており、欧州の高級車メーカーでNVIDIAの技術を活用した自動運転開発が一段と広がっている。
市街地の運転支援からレベル4まで視野
今回の協業では、NVIDIAの車載コンピューター・センサー構成基盤「Hyperion」、運転ソフトウエア「Alpamayo Stack」、安全システム「Halos」を活用する。MB.OSと連携させ、新たな運転機能の導入や、無線通信によるソフトウエア更新(OTA)に対応する。Alpamayo Stackは、AIによって周囲の状況を理解し、対応を推論する機能を備える。市街地で出発地から目的地までの走行を支援するほか、事故を未然に防ぐ予防安全機能や自動駐車などに活用する。Halosは、メルセデス・ベンツの安全システムを補完する別系統の安全制御ソフトウエアなどにより、冗長性を確保する。
両社は、これらの技術を高度な運転支援システムに加え、将来のSAEレベル4の自動運転技術開発にもつなげる。一定の走行条件の下でシステムが運転を担うレベル4では、自動運転による送迎用セダンも視野に入れる。ただし、今回の発表では、新技術を搭載する具体的な車種や市場投入時期は示していない。メルセデス・ベンツ・グループで開発・調達を担当する最高技術責任者(CTO)のヨルグ・ブルツァー取締役は、NVIDIAを自動運転分野で最も重要な戦略的パートナーと位置付けた。両社が共同開発してきた市街地での運転支援を土台に、安全性を確保しながら機能をさらに高度化する考えを示した。
ボルボと共通の技術基盤、安全性の確保が焦点に
ボルボ・カーズが15日に発表した提携拡大も、Hyperion、Alpamayo Stack、Halosを活用する点で同じ内容だ。同社は次世代車への搭載を計画、高速道路から交通量の多い市街地、駐車までを含む一連の走行への対応をめざしており、ドライバーが前方を常時監視する必要のない「アイズオフ」、さらに運転への注意を常時求められない「マインドオフ」の段階的な導入を掲げた。一方、メルセデス・ベンツは、MB.OSとの統合や別系統の安全制御による冗長性に加え、レベル4の自動運転セダンへの展開を明示している。いずれも将来の開発方針であり、今回の発表によって直ちに利用可能になる機能ではない。
両社の動きからは、自動車メーカーが蓄積した車両安全技術と、NVIDIAの計算基盤・AI・運転ソフトウエアを組み合わせる開発の方向性が読み取れる。共通の技術基盤を活用するなかで、各社が自社の車両や安全設計にどう組み込み、実際の交通環境で性能を検証していくかが、商品化に向けた焦点となる。
開発・生産分野でも協業
メルセデス・ベンツは、自動運転以外でもNVIDIAの技術を活用している。車両開発時のシミュレーションに加え、デジタル生産基盤「MO360」で、仮想空間を使った生産計画やAIの応用を進める考えだ。
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(2026年10月16日)